2012年2月12日

核への応答を

 去る2月3日、駐在員は韓国キリスト教協議会主催で行われた「脱核と倫理」というセミナーに参加して参りました。韓国においても原子力発電所(以降「原発」と略記)が21基あります。将来的には、増加計画にあり、およそ10基ほどが増加されるそうです。
(キリスト教大韓監理会本部にて)
 韓国において、反原発に関心が持たれたのは、1986年チェルノブイリ以降からです。日本では、1954年アメリカの原爆実験により被曝した第五福竜丸の事件がきっかけで反対運動が起こりました。そして、2011年3月11日の大地震による福島第一原発の事故によって、反核、反原発、反原爆を強く意識できる転換期の訪れと思いました。しかし、韓国政府のエネルギー政策は、反核ではなく、むしろ平和利用という名で原発を増加する方針を打ち立てました。
(忠北大 チョンホヨン教授)
 そのような状況下において、忠北大のチョン・ホヨン教授は、市民の倫理に問いかけなければならないことを主張されました。この際、ドイツの例が多く挙げられますが、ドイツは2022年までにすべての原発を停止することを2011年5月30日に宣言しています。このドイツの反応で明らかになったのは、「命の問題」に対する社会的価値観であるということです。つまり、日本も韓国も命に関する社会的価値観が低いということが言えるのです。

 駐在員は、セミナーを聞きながら、原爆を経験した日本がいち早く反核に反応できない状況、そこにある原因とは何なのかということが気になります。(もちろん、そこには資本主義の落とし穴やアメリカやアジアとの関係、原発としての核戦争が見え隠れするのですが、ここでは言及を控えます。)そして、絶対的な平和と安全は、いかにして生み出すことができるのだろうかということが関心ごとであります。
 駐在員は、ソウルに駐在しながら、韓国の核あるいは日本の核に対する反応を追うとともに、かんよう出版からも一つ核に対する応答という形で何かを出版できればと企んでいます。





KYOBO文庫に行ってきました。

 韓国最大と言われるKYOBO文庫です。よく芸能人のサイン会なども行われ、週末は人が多いですが、本日は比較的空いてる方でした。ちなみに10時過ぎ頃です。      
(店内の様子)
 書籍のみの販売ではなく、文房具や雑貨なども豊富にあります。特に駐在員が嬉しいのは、日本語書籍コーナーがあることです!新しいものから昔のものまで、かなり多く揃っていると思いますが、円高のためかなりお高くなっています。
(人気図書)
 有名作家の人気図書がおいてあります!韓国文学として日本でもいくつかの書籍が翻訳されていますが、店頭に並ぶということはまだまだなような気がします。しかし、韓国では、東野圭吾や村上春樹の翻訳本がベストセラー本として店頭に並んでいるのです。日本の書籍は、マンガをはじめとし、小説、エッセイ、料理本、雑誌など注目されているようです。しかし、日本雑誌の場合でも表紙を飾ってるのは韓流スターの場合が最近は多く、どっちがどっちなのか混乱する時があります・・・
(サンリム知識叢書)
 駐在員の目的は、この「サンリム知識叢書」です。さまざまな分野で活躍する学者や評論家が入門書として執筆しています。ですので読みやすく、分量も短いです。基本的に100ページ以内で収められています。しかし、400巻を越える叢書シリーズを調べるのには、時間を要しました。内容的には、日本でも紹介されているものが多いですが、やはり韓国独自のものに注目しながら調査して参りました。
 春には、かんよう出版からもサンリム知識叢書41巻にあたる徐正敏先生の『韓国教会の歴史(韓国名)』が出版されますので、乞うご期待下さいませ!

2012年2月9日

慣れない営業

(鶏鍋、東大門にて)

寒いですね!マイナスが続くソウルでは、やはり体の温まる料理が食べたくなります。駐在員、食べたいだけで、外食ができる身分ではないのですが、先生が「鶏鍋(タッカンマリ)を食べたい!」とおっしゃるなら行くしかありません!

 ということで、駐在員は営業に行って参りました。出版依頼というのは、まだ慣れないものですが、これも積み重ねと経験ということです。なかなかうまくいかない場合も多々ありますが、鍋効果でしょうか!?この日は手応え有り!!やはり、おいしいものを食べながら、商談をするというのも必要ですね。

 今年中には、『植民地主義とキリスト教』(仮名)という書籍が「かんよう出版」から出版できるかもしれません。みなさま、乞うご期待下さいませ。

追伸
 気になる写真は、鶏鍋です。韓国語では、タッカンマリと言いまして、意味は「鶏一羽」です。実際は、3人で2羽食べましたからタットゥマリとなりますが・・・ソウルの東大門、ファッショングッズなどが安く買えることで有名ですが、食も充実しています。なんといってもシメでいただく、カルグクスは最高なんです!

2012年2月8日

荷物が届く

 駐在員は、お正月に日本へ帰国した際、自宅の書籍を船便でソウルに送りました。およそ3週間で到着し、何より無事に到着してくれてホッとしています。

 そんな中、何気なく書籍を見たり、整理したりしていますと「この本はいくらだったかな〜」ということがふと気になります。そうしますと、日本の書籍は韓国の書籍に比べると高く感じてしまうのです。それもそのはず、日本の書籍は、帯、表紙をはじめ装丁にお金がかけられています。一方で、韓国の書籍は帯や表紙がないものも多々。いわゆるペーパーバックのものが多くて低コストとなっています。学術書であっても大抵は2000円ほどで購入できます。

 直感的にですが、やはり日本の書籍は、韓国の書籍に比べると2倍ぐらいの価格がついているように思います。そうすると当然、学生さんなんかの手には負えない値段がついてくる訳です。特に学術書などは4000円程度からが当たり前!キリスト教書籍においては、それ以上の値段がついている場合も多々あり、面食らってしまいます。もちろん、そのために図書館というものがありますが、やはり書籍は読者のすぐ側にあっていつでも手に取って読んでもらえるということを出版社としても目指したいという気持ちであります。

 低価格で買い求めやすい書籍。なおかつ内容には、こだわっていきたいと感じる今日この頃です。ソウルは、現在マイナス6度。昨日よりは温かいと言っても寒いです。日本のみなさまも寒さには十分お気をつけ下さい。

2012年2月7日

芽を出すということ


(ソウル、チョンノのダイソーで購入したバジル)

 三寒四温と言いますが、現在の韓国は三温四寒でございます。明日から再びマイナス10度となるそうです。

 それはさておき、本日駐在員は、先日ご紹介した韓国キリスト教歴史研究所に来られたとある日本人研究者に呼ばれて、ご挨拶に行っておりました。ウルサン大学などの客員教授を終え、引退され現在は、孤児院の資料を集めにこられたとのことでした。
                
 
 名刺交換後には、「出版業界ですか〜厳しいですな、最近は」とのお一言。確かに紙を媒体として、情報を共有することが少なくなった現代人。その反面で、出版社は紙を媒体にして情報をご提供致します。どんな歴史でも現在があれば、そのポストがあり、その連続性の中には逆戻りする傾向もあるのです。ということは、現在の情報機能が飽和状態に達する際に、人間は紙の価値観に逆戻りする可能性は多いにあります。しかし、現状は紙離れが続いてるのは、出版社として泣き所。このような時期にかんよう出版は、どのような芽を出すことができるでしょうか。

 駐在員、何かの願掛けではありませんが、今日から芽が出るようにとバジルの種を栽培することにしました。バジルだけでなく、出版社もほそぼそとでも成長しますように。


2012年2月5日

日韓、韓露、日露について

(東大門、カリンカのボルシチ)

 ソウル、東大門のとあるロシア料理店。カザフスタンの友人はこう語る。

「この店の料理は、ロシアで食べるものと同じでうまいぞ!食ってみろ!」

 駐在員は、日本人です。ロシアにも行ったことがありません。ですから、実際のところ本場の味がわからなくても口に合えばいいとなんて思ってしまう。

 しかし!韓国で食べるロシア料理を食べるとわかります。確かにうまい。日本で食べるものは、日本人向けに作られていますが、韓国にあるロシア料理は韓国人向けに作られていない。それは、旧ソ連に多くの韓国人ディアスポラがあり、帰国した彼らが本場の味を韓国でも求めるからです。

 日本人は、日露戦争時にかなりロシアの文物を排除しており、宗教的側面においてもロシア正教は数えるほどしかありません。もちろん、韓国においても日本の植民地を経験しているため、ロシアの文物はかなり廃絶されています。しかし、当時はそれと同時に韓国人たちの多くが朝鮮半島から移住したことも事実。現在は、それが食文化として帰国しており、日本に比べればロシア料理屋も多いのです。日露と韓露の関係は複雑な絡み合いの中で現在も韓国の中で生きているということが言えます。それは在日コリアンならぬ、在露コリアンたちの姿です。


 日本においても、韓流ブームだけでなく彼らのアイデンティティが紹介されるような時代に突入しているのではないでしょうか。駐在員もそのような韓国文献がないのか注目しつつ、本場のロシア料理を楽しみたいと思います。

韓国キリスト教歴史学会 第301会

本日は、韓国キリスト教歴史学会に参加しました!

ソウルの弘大からバスで五分ほど乗れば研究所です。月に一度学会が開かれ、二つの研究発表が行われます。年に二度学会誌が発刊されます。韓国キリスト教の歴史学会では、一番権威がある学会なのです。この学会誌に名前が載れば、研究者としては一人前!?と言われるでしょう。 

本日の主題は、二つあり、特に日本に関係あるものとして李徳周教授(監理教神学大学)による「関西学院神学部朝鮮人留学生に関する研究」の発表がありました。まだ日本でも留学生研究は、進行中ですので、今後のミッションスクールにおける神学部の留学生という研究課題には、注目する価値がありそうです。 学校ごとには、ある程度年史などでまとめられていますが、「日本における神学部の朝鮮人留学生」を体系的に捉えた文献は、まだ見当たりません。当出版社でも取り扱いたい主題の一項目として、ピックアップしてみました。