2012年2月21日

日本語と韓国語の差異で

ソウルにも春の兆しが見えて参りました。日本のみなさまはいかがお過ごしでしょうか?本日のソウルの気候は、零下を記録しなかった模様です。駐在員も外に出ていましたが、刺すような寒さからは解放されたようです。
 さてさて、駐在員の仕事も始まったばかりです。仕事があるという事は幸せなことなのですが、手を焼く事もしばしばあります。と、言いますのも、駐在員の仕事の一つには、文献の翻訳照合という作業があります。もちろん、日本の出版社ですので、韓国語から日本語への作業が中心なのですが、うまく訳されていると思っても意外と日本の方には理解できない表現などが混じる場合もあるのです。それらの表現を訳中で発見するという作業も難しいものの一つです。駐在員は韓国滞在がすでに2年を過ぎようとしていますが、そうすると思考回路も韓国的になりつつあり、韓国語で普通に理解できる言い回しが、日本語では理解されないというようなことも多々生じてくるのです。その区別というものが非常に神経を使わなければならないところでしょう。
 やはり、日本語にしてわかりやすい文献を世に送り出すという点においても、ただ単に直訳されたものでは理解ができません。やはり、わからない用語には解説を付けたり、意訳するという事が必要になってくるでしょう。昨日は、著者の先生と4時間程打ち合わせをしながら、丹念に修正作業を行ってきました。

 いやはや、作業の話は、さておきまして打ち合わせの前に腹ごしらえということで、「白松」という牛スープが有名な店を訪れました。グツグツと煮込まれた牛のスープは、日本では味わえない格別の味なのです。駐在員、その写真を撮り忘れてしまいました・・・韓国グルメ本もいずれは扱いたいと企んでいるのですが。
 そして、打ち合わせでは、この奇妙な靴アートが目立つ青瓦台にあるコーヒーショップでコーヒーを一杯。そして、カフェのはしごをし、二軒目はスターバックスでという中で打ち合わせを終えました。
 ブログでは、めまぐるしく変化するソウルの様子をアップして行きますが、いずれソウルの観光本なんかにも着手して行きたいものです。


2012年2月18日

ツイッターはじめました

 かんよう出版ソウル駐在員は、ツイッターを始めました。駐在員の日常をブログとは、異なりラフな形でお届けしようと思います。ソウルの日常的な風景なども写真でアップできたらと考えています。アカウントは「@Kanyou_Seoul」ですので、よろしくお願い致します。

2012年2月17日

韓国キリスト教のダイナミズムとは

 最近の日本では、「韓流」がひとつのジャンルとなろうとしています。それは両国が歴史の葛藤を越え文化交流の現場を共有している一側面なのではないでしょうか。そんな現場の中に「かんよう出版」は、いかにして参入できるのでしょうか?
 その手始めの仕事として、「かんよう出版」では、韓国キリスト教のダイナミズムを日本に伝える事ができればと思っています。その第一歩として、徐正敏先生の『出会いと葛藤の歩み–韓国キリスト教史概観(仮名)』が出版される予定です。

(韓国では『韓国教会の歴史』として出版されました)
韓国では、サンリム社の知識叢書41に納められている文献です。キリスト教書としては、異例の5版目ということで、日本でどれくらい影響を及ぼすことができるだろうか・・・というのが駐在員の気がかりなところです。
 日本のキリスト教においても、もちろん語り尽くせないダイナミズムがありますが、それは韓国のキリスト教についても同様です。そのダイナミズムを入門書として取り扱う文献が徐先生の文献なのです。日本においても、韓国キリスト教の文献は、いくつか紹介されていますが、このように入門書として出版されるというのは、珍しい例であると思います。
 そして、やはり重要な部分は、徐先生が文献でも言及されているように、日韓両国における人文思想理解に新しい一つの視点を与えようとされる点です。駐在員は、当文献が日韓両国における葛藤の歴史に新しい変革を起こすきっかけとなることを願いつつ、世にこの文献を送り出したいと思っております。

2012年2月14日

アヒョン散策

駐在員は、本日ソウルのアヒョンという家具通りに机を買いに向かいました。というのも、ちゃぶ台のようなものにパソコンをのせて、すべての作業をしていたため、古傷である膝が痛みはじめたのです。これでも大学時代まではスポーツマンでした。
 そして、本題の机はと言いますと、誠に運悪く本日月一度の定休日でほとんどのお店が休みでした。あとで調べてみますと、毎月2週目の火曜日が定休日とか。それでも何件かのお店は見ることができましたが、本日の机の購入は決定を断念せざるを得なくなりました。もしかして、バレンタインデーだから休みなのかなという想像までしてみましたが・・・

結局、家具屋さんには入れず、アヒョンを一時間程散歩することになりました。そのなかでも目立つ建物は、やはりこの大きな教会でした。アヒョン監理教会です。建物が二つありますので、別々の教会かと思いきや、同じ教会の所有物でした。
 日本であれば、このサイズの教会は当然大型教会です。しかし、韓国では、おそらく中型に位置するでしょう。韓国の監理教会は、長老会に続いて大きな教団で多くの信徒を保有しています。
 ところで、日本では、監理教とは表記せずメソヂストあるいはメソジストと表記します。しかし、その多くの教会は戦中に現在の「日本基督教団」に合同しました。韓国においても日本基督教団同様の日本基督教朝鮮教団が1945年6月に設立され、統合されて行きますが、戦後それらは解体され、現在における教派別の教会として存在しているのです。
 「かんよう出版」においても、日韓の教派別の動きを捉える研究書を出版する事も見据えて行きたいなと思う今日この頃でした。

2012年2月13日

ヨニドン散策

(ヨンヒ天主教聖堂)
 駐在員が住んでいる近所には、カトリック教会があります。6時、12時、18時にはチャイムのように鐘がなります。おそらくお祈りの時間などが持たれているのでしょう。ご近所なのに礼拝堂すら見た事がありませんでしたが、気が向いたので、見学させて頂きました!
 韓国のカトリック教会を見学する機会は、それこそ観光名所となっている明洞聖堂ばかりで、他はほとんど訪れる機会がありませんでした。韓国におけるカトリック教徒は、国民の7%〜10%との間ともいわれ非常に大きな組織なのです。あの有名なヨン様やフィギアスケートのキムヨナもカトリックとか!
 韓国のカトリックは、日本のカトリックと何が違うの!?という質問も多々あるでしょう。一言では、言い切れませんが、初期は西洋文物を通して、信仰者が誕生するというまれに見ない方法によって信仰者が誕生します。鎖国が厳しかったので、特別な状況が出現したのですが、カトリック宣教史至上唯一の例とも言われています。
 その後、日本でも有名なイエズス会の影響は、多少ありますが、本格的になるのはフランスのパリ外邦宣教団の上陸です。イエズス会とは異なり、多様性がなく保守的であった宣教師たちは、多くの迫害に合い殉教していきました。それらの血による歴史の上に今日の韓国カトリック教会が成立されたのです。かなり概略しましたが、ふと思ってみると日本では、韓国カトリック史を専門的に取り扱った文献は、かなり少数である気がします。もちろん、通史としては韓国プロテスタント教会史家が紹介していますが、もう少し詳しい研究書、あるいはカトリックの専門家が記した韓国カトリック史というものは少ないでしょう。これも何かの機会だと思い、駐在員は「韓国カトリック史」の文献にも注目できればと思います!今年、来年ぐらいの課題でしょうか・・・
 聖堂からは綺麗な夕日が見えました。ソウルも少し春に近づいているような気がします。早く温かくなると嬉しいです。

2012年2月12日

核への応答を

 去る2月3日、駐在員は韓国キリスト教協議会主催で行われた「脱核と倫理」というセミナーに参加して参りました。韓国においても原子力発電所(以降「原発」と略記)が21基あります。将来的には、増加計画にあり、およそ10基ほどが増加されるそうです。
(キリスト教大韓監理会本部にて)
 韓国において、反原発に関心が持たれたのは、1986年チェルノブイリ以降からです。日本では、1954年アメリカの原爆実験により被曝した第五福竜丸の事件がきっかけで反対運動が起こりました。そして、2011年3月11日の大地震による福島第一原発の事故によって、反核、反原発、反原爆を強く意識できる転換期の訪れと思いました。しかし、韓国政府のエネルギー政策は、反核ではなく、むしろ平和利用という名で原発を増加する方針を打ち立てました。
(忠北大 チョンホヨン教授)
 そのような状況下において、忠北大のチョン・ホヨン教授は、市民の倫理に問いかけなければならないことを主張されました。この際、ドイツの例が多く挙げられますが、ドイツは2022年までにすべての原発を停止することを2011年5月30日に宣言しています。このドイツの反応で明らかになったのは、「命の問題」に対する社会的価値観であるということです。つまり、日本も韓国も命に関する社会的価値観が低いということが言えるのです。

 駐在員は、セミナーを聞きながら、原爆を経験した日本がいち早く反核に反応できない状況、そこにある原因とは何なのかということが気になります。(もちろん、そこには資本主義の落とし穴やアメリカやアジアとの関係、原発としての核戦争が見え隠れするのですが、ここでは言及を控えます。)そして、絶対的な平和と安全は、いかにして生み出すことができるのだろうかということが関心ごとであります。
 駐在員は、ソウルに駐在しながら、韓国の核あるいは日本の核に対する反応を追うとともに、かんよう出版からも一つ核に対する応答という形で何かを出版できればと企んでいます。





KYOBO文庫に行ってきました。

 韓国最大と言われるKYOBO文庫です。よく芸能人のサイン会なども行われ、週末は人が多いですが、本日は比較的空いてる方でした。ちなみに10時過ぎ頃です。      
(店内の様子)
 書籍のみの販売ではなく、文房具や雑貨なども豊富にあります。特に駐在員が嬉しいのは、日本語書籍コーナーがあることです!新しいものから昔のものまで、かなり多く揃っていると思いますが、円高のためかなりお高くなっています。
(人気図書)
 有名作家の人気図書がおいてあります!韓国文学として日本でもいくつかの書籍が翻訳されていますが、店頭に並ぶということはまだまだなような気がします。しかし、韓国では、東野圭吾や村上春樹の翻訳本がベストセラー本として店頭に並んでいるのです。日本の書籍は、マンガをはじめとし、小説、エッセイ、料理本、雑誌など注目されているようです。しかし、日本雑誌の場合でも表紙を飾ってるのは韓流スターの場合が最近は多く、どっちがどっちなのか混乱する時があります・・・
(サンリム知識叢書)
 駐在員の目的は、この「サンリム知識叢書」です。さまざまな分野で活躍する学者や評論家が入門書として執筆しています。ですので読みやすく、分量も短いです。基本的に100ページ以内で収められています。しかし、400巻を越える叢書シリーズを調べるのには、時間を要しました。内容的には、日本でも紹介されているものが多いですが、やはり韓国独自のものに注目しながら調査して参りました。
 春には、かんよう出版からもサンリム知識叢書41巻にあたる徐正敏先生の『韓国教会の歴史(韓国名)』が出版されますので、乞うご期待下さいませ!